C型肝炎の基礎知識|肝がんの約80%はC型肝炎ウィルスが原因です。
C型肝炎とは

肝がんの主な原因はC型肝炎ウィルスの感染

現在日本では、毎年3万人以上の方が肝がんで亡くなっています。肝がんの原因の多くは肝炎ウィルスに感染したことによりますが、その約80%はC型肝炎ウィルスの感染によるものです。しかし、白分がC型肝炎ウィルスに感染していることを知らずに過ごしている人が100万人以上もいるといわれています。

C型肝炎は気づかないまま肝硬変、肝がんへと進展

C型肝炎ウィルスに感染すると、体はそれを排除しようとしてウィルスを攻撃します。そのときに肝細胞を一緒に破壊してしまうため肝臓に炎症がおこり肝炎になります。感染してから2週間〜1ヵ月後に急性肝炎をおこし、その後約60〜80%の人は治らずに慢性化します。いったん慢性化すると自然に治ることはほとんどなく、多くは肝硬変、肝がんへと進展してしまいます。
C型肝炎は気づかないまま肝硬変、肝がんへと進展


肝臓は「沈黙の臓器」ともいわれ、肝炎になっても自覚症状はほとんどありません。そのため、気づかないままおよそ20〜30年で肝がんへと病気が進んでいきます。進むスピードには個人差があり、60歳をこえると肝がんになる確率が高くなります。病気が進むと治療も難しくなります。早めに検査して、感染していないか確認しましょう。
感染経路

C型肝炎ウィルスは体液や血液を介して感染します。1989年にC型肝炎ウィルスが発見される前は、感染している人の血液を輸血したり、汚染された注射器や注射針を使用してしまうことで感染していました。その後は献血時の検査が確立し、また使い捨ての注射器が普及したことなどから、現在は医療行為で感染することはまずありません。

現在も考えられる感染経路

「 十分に消毒されていない器具を使ってピアスの穴を開ける 」
「 刺青を彫る 」
「 覚せい剤を打つなどの注射器の使いまわし 」
「 母子感染(感染率は低い) 」
検査・検診

C型肝炎ウィルス(HCV)に感染しているかどうかは、血液検査でも簡単にチェックできます。保健所のほか、ほとんどの医療機関で検査をして調べることができます。

大人はだれでも感染している可能性がないとはいえません。一度検査を受けてみましょう!C型肝炎ウィルスのキャリアであれば、ウィルスの量や種類、肝臓の状態を調べ、すぐに治療すべきか判断できます。

C型肝炎ウィルス感染の検査方法

C型肝炎は気づかないまま肝硬変、肝がんへと進展
治療方法

治療目標には、
「ウィルスを完全に排除する」
「肝臓の炎症を抑えて病気の進行を遅くする」
の2つがあります。ウィルスを完全に排除すれば、まず病気が肝がんに進む心配はありません。治療をしてもウィルスを完全に排除できなかったり、体の調子によリウィルスを排除する治療を受けられなかった場合でも、病気の進行を遅くする治療方法があります。

ウィルスを排除する治療方法

「インターフェロン」
インターフェロンは、ウィルスが体に入るとウィルスを攻撃するために登場する物質です。それを薬として体にたくさん入れることで治療しようとするものです。週3回以上注射することで効果が期待できます。

「ペグインターフェロン」
インターフェロンに鎖“ペグ”をからめることで体の中をゆっくり動き、インターフェロンを分解しようとする酵素からインターフェロンを守るように工夫しています。その結果、週に1回の注射で効果が期待できます。現在、ペグの大きさが異なる2つの薬があります。

「リバビリン」
リバビリンは、ウィルスを攻撃する薬です。C型慢性肝炎に対しては、リバビリンのみでは効果はみられませんが、インターフェロンやペグインターフェロンと同時に使用することにより、さらに強くウィルスを攻撃する作用が期待できます。現在、錠剤とカプセルがあり、毎日飲むことで効果が期待できます。

これらの治療は、体の調子によっては受けられないことがあります。たとえば、リバビリンによる治療は、妊娠している方または妊娠している可能性がある方、授乳中の方は受けられません。

治療中にみられる副作用

治療中には、様々な副作用がみられます。しかし、これらの副作用のほとんどは一時的で、薬の量を減らしたり、いったん薬を休んだりすることにより副作用を軽くしてなるべく治療を続けられるように工夫します。

「特に注意が必要な副作用」
ごくまれに間質性肺炎、うつ症状、脳出血、脳梗塞などがおこることもあります。ひどくなる前にみつけるため、治療中はチェックをしていきます。

病気の進行を遅くする治療方法

体の調子によりウィルスの排除を目的とした治療ができない場合や、ウィルスを排除する治療を行っても効果が期待できない場合などでは、病気の進行を遅くする治療を行います。

「インターフェロンの少量・長期投与」
インターフェロンには、肝臓の炎症を抑えて病気の進行を遅くする働きもあります。ウィルスを完全に排除する場合には、インターフェロンを一定の量で、期間を限って投与しますが、病気の進行を遅くする治療の場合には、少量を長期にわたって投与したりします。

「ウルソデオキシコール酸、グリチルリチン」
この2つの薬は、肝臓を保護する働きがあり、肝炎の炎症を抑えることによって病気の進行を遅くする効果が期待できます。体からウィルスを排除することはできませんが、インターフェロンに比べて副作用は少なくなっています。ウルソデオキシコール酸は飲み薬です。グリチルリチンは注射と飲み薬です。

「瀉血(しゃけつ)」
C型肝炎になると、肝臓に鉄分がたまるようになります。この鉄が増えると炎症が悪化するため、血液を取って捨てることをくリ返して鉄を減らします。同時に鉄分の多い食事もひかえます。
医療費助成制度

厚生労働省と各都道府県では、平成20年度からC型肝炎のインターフェロン治療に対する医療費助成を行っています。助成を受けるためには受給者としての認定が必要ですので、お近くの保健所へご相談ください。

助成内容                              2010年4月1日現在

自己負担上限 月額 利用できる回数
世帯あたり市町村民税(所得割)課税年額
235,000円未満
10,000円 C型ウィルス肝炎で医学的にインターフェロン再治療が有効と認められる一定条件を満たす方については、2回目の助成制度利用も認められます。
世帯あたり市町村民税(所得割)課税年額
235,000円以上
20,000円
※1
保険適用外、もしくは根治を目的としない治療については、助成の対象にはなりませんのでご注意ください。
※2
制度の対象にならない場合でも、高額医療費制度や医療費控除制度などをご確認いただくと医療負担を軽減できる場合があります。
日常生活の注意点

食事

朝・昼・夕に規則正しく食事してください。良質なタンパク質を適量摂りましょう。カロリーの摂り過ぎに注意しましょう。

ひかえた方が良い食べ物

「インスタント食品、スナック菓子」
保存料や着色料などの添加物が含まれていることがあり、肝臓に負担をかけることがあります。

「鉄分が多い食品」
肝臓の炎症がひどくなることがあります。鉄分が多い食品には、ほうれん草、のり、納豆、はまくり、レバーなどがあります。

「アルコール」
禁酒しましょう。アルコールにより肝がん発生を早める可能性があります。

安静について

慢性肝炎の方は安静にする必要はなく運動制限もありません。
いつも通りの生活で構いません。

家族やまわりの方へ感染させないためには

  ・
カミソリ、ひげそり、歯ブラシの共用はひかえてください。
  ・
食器の共用や入浴では感染しません。
  ・
C型肝炎ウィルスはセックスではほとんど感染しません。女性が感染している場合、生理中とその直後はひかえてください。



資料提供 中外製薬:わかりやすいC型肝炎のおはなし